株式会社ITBASE

【セミナー報告】原価計算の基礎知識@浅口商工会さま

2025.09.17

先日、浅口商工会さん主催の「原価計算の基礎知識」セミナーで講師を務めさせていただきました。

普段はITやDXに関するお仕事が多いのですが、
実は「価格転嫁」や「原価計算」についてのご相談をいただくこともしばしばあります。

そうしたお悩みにお応えするため、セミナーも定期的に担当させていただいています。当日は、原価計算の基本から価格転嫁、価格交渉まで、実例や簡単なワークを交えてお話しました。

セミナー内容

1. 原価計算の基本

  • 原価計算とは何か
  • なぜ中小企業にとって重要なのか
  • 業種別の原価構成の違い(飲食業、製造業、サービス業)
  • 具体的な計算方法と事例紹介

2.価格設定の考え方

価格設定は、利益を確保するうえで最も重要な要素です。
特に原価を正しく把握していないと、次のような問題が発生します。

  • 値上げしても利益が増えない
  • 赤字商品を販売していることに気づかない
  • 価格交渉で根拠を示せず、不利な立場になる

セミナーでは、飲食店やサービス業を例に「価格設定の3つの方法」を紹介しました。

価格設定の3つのパターン

  1. 原価率から計算する方法
    • 目標とする原価率(例:30%)を設定し、逆算して価格を決定
  2. 競合価格を参考にする方法
    • 競合他社と比較して市場価格を確認
  3. 顧客が感じる価値を基準にする方法
    • 価格=原価+付加価値として設定

特に、「原価率のみで価格を決定するのは危険」という点を強調しました。
市場や顧客価値も踏まえて、総合的に判断することが大切です。

損益分岐点の考え方

損益分岐点とは、「利益がゼロになる売上高」のことです。
つまり、どれだけ売上を上げれば利益が出るかを知るための重要な指標です。

計算の基本

損益分岐点売上高は、以下の計算式で求めます。

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 – 変動費率)
  • 固定費:家賃、人件費、減価償却費など、売上がなくても発生する費用
  • 変動費率:売上に応じて変化する費用(材料費、仕入れ原価など)の割合

セミナーでは、実際にラーメン店を例にして計算を行いました。

具体例

  • 1杯あたりの変動費:400円
  • 月間固定費:100万円
  • 販売価格:800円
変動費率 = 400円 ÷ 800円 = 0.5(50%)

損益分岐点売上高 = 1,000,000 ÷ (1 - 0.5) = 2,000,000円

つまり、月間200万円の売上を超えて初めて利益が出ることがわかります。

この計算を自社の商品やサービスに当てはめることで、
「目標売上高」「必要な販売数」「コスト削減の優先度」などを具体的に検討できるようになります。

参加者の声

参加者の皆さまからは、以下のような感想をいただきました。

  • 「数字を見直す良いきっかけになった」
  • 「価格交渉の準備を始められそう」
  • 「自社の商品で計算してみたい」

普段は数字を避けてしまいがちな経営者の方も、
演習を通して少しずつ理解を深めていただけたようです。

まとめ

今回のセミナーでは、原価計算の基礎知識と価格設定・損益分岐点の重要性について解説しました。

原価を正しく把握することは、適正な価格設定と利益確保の第一歩です。
これを基盤に、価格交渉や新たな戦略を検討していくことができます。

ITやDXのご相談はもちろんのこと、
経営や数字に関するお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。

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